
千代田区立九段中等教育学校の開校、誠におめでとうございます。
この学校の母体校となる都立九段高校の同窓会「菊友会」を代表して、ひとことお祝いの言葉を述べさせていただきます。
千代田区立九段中等教育学校誕生まで幾多の試練がありましたが、石川区長、賀澤校長始め東京都教育委員会、千代田区教育委員会、九段高校教職員の皆様のご理解、ご協力を得て、めでたく開校の運びとなりましたこと、心よりお慶び申し上げます。
都立九段が区立になるかもしれないという話を同窓会が初めて知ったのは4年前のことでした。当然、同窓生の意見は反対が大勢を占めましたが、都教育委員会、区教育委員会、学校と何回も何回も討議を重ね、最終的には九段高校の伝統と校風の継承を条件に、千代田区への移譲が決定されました。
本校は本日お披露目がありましたように、立派な教育施設と優秀な先生方を擁し、またスポーツや部活動の環境も整っております。しかし如何に環境が整っていようが、優秀な生徒が育たねば意味がありません。行政、学校、そして保護者の皆さんが協力して、期待を裏切らない立派な学校を創りあげていただきたく切望する次第です。
私ども同窓会も移譲問題がきっかけで密接になった学校との関係を一層強化し、できる限りのお手伝いをさせていただく所存であります。
九段高校は大正13年第一東京市立中学として誕生しました。「東京市立第一中学」ではなく、「第一」が頭にあるのは「何事にでも第一であれ」という初代校長・成田千里先生の教育方針によるものであります。九段が各界で数多くの人材を輩出してきたのは、「第一であれ」という伝統と心が80年間に亘って脈々と息づいていたからだと思います。
区立への移譲で私どもがもっとも心配したのは、80年の間に培われてきた伝統が、本当に引き継がれて行くのかという点でした。それでは九段の伝統とは一体何なのだろうか。校歌とか至大荘行事のように形で受け継がれていくものは目に見えますから解りやすいのですが、大切なのはその形に込められた目に見えないもの、卒業生が称している九段魂、つまり心、哲学だと思います。
私どもの与謝野鉄幹作詞・山田耕筰作曲の校歌は、創立以来から校名が変わる度に校名部分だけが変わって引き継がれてきました。今月5日、第1回千代田区立九段中等教育学校の入学・編入式が挙行され、「千代田九段中等教育学校」と校名部分だけが変わり、校歌が紹介されました。やや字余りの感無きにしもあらずでしたが、伝統の重みを感じ感無量でした。
校歌1番の最後に「われらの行く方 いかに険しき道のありとも いよいよ高きを越えて進まん」という一節があります。九段の卒業生は困難に立ち向かう際、どんなにこの一節に励まされたことでしょう。これからの行く手にも険しい道が待っていることでしょう。いよいよ高きを越えて前進されんことを祈念して、お祝いの言葉とさせていただきます。本日はおめでとうございます。